コラム
Column
認定NPO法人市民セクターよこはま  理事長 中野しずよ

2017 年度 基本方針 コラム

posted:2017.06.28

~中期ビジョン策定に向けて、具体的な議論を推し進めます~

はじめに
 1999 年当団体設立時のパンフレット冒頭、「市民セクターよこはまがめざすもの」三つの内の二つ目は、「それぞれの違いを認め、理解し、大きな視点と共通認識を持つことで、協同・協働事業の実施や政策提言、商品開発の提案など、社会的な力に変換していきたいと考えています。」としています。
「協働」はわたしたちの大事な理念の一つであり、社会的課題の解決に向けて力を結集していくことを謳ったものです。
あれから 18 年、従来の行政によるサービス、地域活動や NPO を中心とした非営利の活動だけで
なく、企業によるビジネスも含めて、それぞれが力を合わせて、社会的課題解決を目指し、結果につな
げていくこと。
言い換えれば「非営利・企業・行政の各セクターが、垣根を越えて課題解決に向けて協力し合うこ
とに挑戦する時代」がいよいよ整ってきたと感じています。
この背景には、企業にとっても、物が売れない時代にあって、CSR(企業の社会貢献)や CSV(「共有価値の創造」:企業と社会の両方に価値を生み出す、企業活動を促進する経営の考え方)がトップ層に広がりつつあることが影響しています。
また、行政も急速な社会問題の複雑化・多様化に対し、財政的課題も大きい中で、直接やれることは限られてきており、非営利活動や企業が公共サービスの主体となることも増えてきました。

5 年後に向けた到達・方向性イメージ(案)
このような状況認識を前提に、当法人の概ね 5 年の中期ビジョン案をお示しします。
これまでどおり、草の根団体のネットワークを原点とする当法人の理念に基づき、活動の当事者が相互に学び合い・支え合う環境づくりを中心に、市民活動や地域活動の支援、そこにつながる政策提案に力を入れていきます。
設立時のパンフレットにはこういう文章もありました。「何もハンディのない人っている?みんな何かしら弱さをもっている。高齢者から子どもたちまで、地域の中で市民が共に生き、共に支え合うまち・社会を目指そう。」自分もマイノリティーの一人であることの自覚と、そこに寄って立つからこそできることがある、という市民活動の価値の発信、そして自分たちの活動への自信が感じ取れ、このことは、これからも大切にしていきたい当法人の大事な活動のスタンスです。そのうえで、人・資金・知恵が集まる「プラットフォーム」という視点を持って、当法人の可能性を拡げ、発展させていく体制づくり・拠点整備の準備を進めます。
なんとなく社会に良さそうなことをやっている、という時代から社会的インパクト(具体的な目に見える効果)をベースとした視点への進化が求められています。
もちろん、開拓的・先駆的な段階においては、また内容によっては、上記効果を測ることは難しく、別に考える必要がありますが、「数や目に見える具体的効果を意識する」、「評価指標を自ら設定する」、「効果を測る」、「より社会に対してインパクト(効果)を出していくために協働は必然」という認識について、これまで不足していたと自覚しました。

1.2020 年を目途に、民間の支援拠点として、さまざまな課題解決に向けたプロジェクトが、持ち込まれ、自由闊達な議論が生まれ、プランが揉まれる環境をつくります。(後述する新市庁舎内の市民協働スペースにおける政策につながるプロジェクトへのつなぎも意識して行います。)
そのためには、これまで以上に、一団体ではやらない、できないという自覚の元、さまざまなパートナーとともに、人・資金・知恵が集まる「魅力的なプラットフォーム」および「楽しくやりがいのあるチームづくり」という視点を持って当法人の可能性を拡げ、社会課題解決に向けてボーダレスにソーシャルの取組みを発展させていく体制づくり・拠点整備を進めます。そこで、具体策としては、
① 当法人の拠点(「Y スペース」仮称)開設を目指します。(2019 年)
横浜市市民活動支援センターでの積み上げを活かし、NPO や地域活動、企業のCSV、公共政策など「ソーシャル」を専門的に支援する民間センターとして、2019 年 9 月(当法人20 周年)開設を目指します。公設民営センター等との連携・すみ分けを考えながら、専門相
談・コンサルタント、体系的な各種人材養成、事務局業務の引き受けなどの事業を行っていき
ます。
② 「認知症ケア総合情報センター」(仮称)の開設を目指します。(2021 年)
2021 年を目途に、これまでの「まちかどケア(認知症ケア)」における積み上げを活かし、認知症ケアに関わる活動を行う団体やネットワーク組織、地域施設などとともに、一般市民の方向けの、認知症ケアの総合情報センターの開設を目指します。

2.非営利・企業・行政、それぞれの組織の強みを持ち寄って、真剣に社会的課題解決に取り組める社会を目指します。
セクターを超えて、人と人が交ざり合い、それぞれの能力を発揮しながら、自分や家族の幸せ、団体(会社)や顧客の幸せ、そして社会みんなの幸せをバランスよく目指していく社会をつくっていくことに貢献できるようになることを目指します。 この貢献には、組織レベルから、より高い「社会システムレベルへの視点の進化」「立ち位置の進化」が求められます。そこで具体策としては、
① 新市庁舎「市民協働スペース」運営への参画をコンソーシアム型で目指します。(2017 年~2020 年)
2020 年開設予定の新市庁舎内「市民協働スペース」は前述の中期ビジョン案と趣旨を同じくする機能がその一部に想定されています。また、当法人が 8 年間担ってきた横浜市市民活動支援センター機能の一部も、引き継がれます。そこで、2017 年度は、本格化していく機能と実施システムの検討に、提言的に関わっていくとともに、どのような組織と、どういう組み方で運営すると結果に結びつくのか、連携方法を探りながら、プロポーザルに向けた準備を進めます。

② 「よこはま地域づくり大学校 Y カレッジ」について、非営利・企業・行政の協働事業として進めます。(2017 年~2021 年)
これにより非営利・企業・行政の各セクターが、垣根を越えて課題解決に向けて協力し合うことに挑戦し(トライセクター)、結果につなげていくことの経験値を高めていきます。運営の財源は、企業のCSV人材養成およびNPOや自治会などの次世代人材養成に資する体系的なプログラム実施による参加費収入、少額で多数の寄付を募るクラウドファンディング、先行投資として、法人自主財源で賄います。

刻々と状況が変化していく現代にあって、未来を予見してビジョンや具体策を検討しても、環境が変わり、与条件も変わっていく可能性もあります。しかし、上記案に記しましたことは、実は 18 年前に、当団体が任意団体として発足した時のビジョンの延長でもあります。
公設民営の市民活動支援センターを受託し、かつ法人事業と兼務して業務に携わってきたことで、中間支援組織としてのスキルと市民活動マインドの両方が身についた職員が、当法人には、20 代、30 代、40 代、50 代の各世代に複数います。
これからを担う人材にミッション・ビジョンを引き継ぐ意味においても、大事な中期ビジョンおよび具体策になると考えています。

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