認知症カフェもっともっとⅢを3月16日に開催しました!

レポート posted:2018.04.06

 

今回3度目になるもっともっとⅢでは、「認知症カフェ」フォーラムではありますが、「認知症カフェ」そのものに焦点をあてるのではなく、「今ある場所・今、その人がいる場所をどうやってその人の居場所にしていくか」という切り口で実施しました。

そこで注目したのが、「なじみの関係」です。

講演「フォローし合い支え合って、“なじみの関係”を続けよう」

井上義臣氏(医療法人活人会 高齢者グループホーム横浜ゆうゆう管理者、認定NPO法人市民セクターよこはま理事)より、お話しいただきました。

センター方式(「認知症の人のためのケアマネジメントセンター方式」)では、認知症の人中心の継続的なケアの実現のために、「本人本位の視点」を5つ設定しています。

1 その人らしいあり方

2 その人の安心・快

3 暮らしの中での心身の力の発揮

4 その人にとっての安全・健やかさ

5 なじみの暮らしの継続(環境・関係・生活)

なじみの暮らしを探り、整えることは、1~4のその人らしいありかた、暮らしの中での力の発揮の大切な基盤なのです。

 

講演のなかで紹介のあったムービーでは、

グループホームに入居した照子さんが、●入居時と、●それまで本人が営んできた暮らしの様子を職員が知り、環境を整えたあとは、安心して、自信の力を活かして職員と一緒にお皿洗いをしていました。

井上さんのお話をきいて、自分にとって、なじみの関係は一体何だろう、と考えました。ある人にとっては、長年使っていた文房具かもしれないし、ある人にとっては、いつも一緒にいた友人かもしれません。認知症であること、ないことに関わらず、なじみの関係が普段、生活しているうえで、大切ですよね。

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報告1 「ご近所さん会」

報告1では、加世田恵美子( 認定NPO法人市民セクターよこはま)より、認知症と診断された母が、だんだんと人との交流する意欲がなくなり、また認知症の症状も進む中で、

・母のことをもっと知って欲しい

・母にとって良い刺激になれば

・父のはりあい

になればと、お招きするかたちで「ご近所会」をスタートしました。料理をふるまわれることや、持ち寄ることにに抵抗があるならば、と今では、お菓子の持ち寄り方式にシフトして、好きなものを持ち寄る形で月1回、開催しています。

加世田さんのこの活動内容は、まさに、「パーソンセンタードカフェ」…その人が中心・その人のために開いたカフェ(会)といえるのかもしれません。

(アンケートより)

★加世田さん、私もずっと地域に住んでいるのになかなか、なじみの関係ができずにいます。たくさんヒントをいただきました。

★切実な実体験をもとに自宅を開いた事例、そういう考え方もできるのかと思いました。

★家でやるカフェ。まさにセンター式。その人のために地域で集まり、それが地域のための集まりになる。これからの地域の目指す姿なんだと感じました。

 

報告2 ころぼっくる&茶卓の取り組み

報告2では、山尾宏子 氏(NPO法人有為グループ顧問、NPO法人歩々路 理事長)にお話しいただきました。

山尾さんは、とてもエネルギッシュなかたで、アンケート結果でも、たくさんの「エネルギーをもらいました!」という声をいただきました。

(アンケートより)

★山尾さんのパワーに脱帽した

★山尾さんのバイタリティにあやかります

★山尾さんの「本音」がとても大切で共感でき「何とかしなくては」の契機になりました!

 

山尾さんは、80歳を過ぎてから、半径500メートルの助け合い「茶卓」をスタートしました。お互いさま、おじゃまさまの精神で、ちょっと困ったことをお互いにサポートしています。

また、20年前に立ち上げた「ころぼっくる」についてもお話しいただきました。まさに、子どもも、認知症の人も、地域のどんな人でも、一緒に過ごす場所です。

事前の打合せのときには、いつも怒っている認知症の人も、暑い夏の日に山尾さんが赤ちゃんをおんぶしている時に、日傘をかけてくれた。そんなエピソードもお聞きしました。

 

報告3 たすけあいが原点「つながること・寄り添うこと」

報告3では、千葉県柏市より、布川佐登美氏(NPO法人ケアラーネットみちくさ 理事長)にお越しいただき、お話しいただきました。

布川さんは、ご自身の経験から、とにかく、耳を傾けて、話を聞いてくれる人と場所をつくるために、「ケアラーズカフェみちくさ亭」を開亭しました。

みちくさ亭の魅力は、チラシを見るとご覧の通りです。

●カフェ(おいしいランチ)を週3回

●介護する家族向けの日

●認知症本人の日

●気軽に誰でも参加できる各種イベントの日

●看護師やケアマネ、専門職に会える日

参加の入口と、相談が繋がる先が多様にある、こんな素敵なカフェが近くにあったら、行ってしまいそうです。

布川さんからの「今取り組んでいるカフェを、是非週1回から2回と、少しずつ増やしてください」というメッセージがとても印象に残りました。

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参加者トーク&登壇者トーク

4人のお話を聞いて感じたこと、質問したいことを、会場の方で3人一組になって、お話しいただきました。

 

質問では、このような質問をいただきました。

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★「認知症本人会」をつくりたいが、布川さんのカフェではどのようにして会をつくったのでしょうか

★加世田さんは、お父様にどのようにご近所さん会のスタートを伝え(説得)したのでしょうか

★地域は仲良い場合もあるが、行ったときに知っている人がいると話せないということもあるのでは

★活動をやっていて、どんな助けがあったら助かりましたか?

 

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★最後のメッセージ

加世田さん

「個人的な理由で始めた活動だが、母を連れて行く場所があればと思っていました。本当は「出かけたい…」と思っている人を引き出すためには、その人の持っている人間関係を引き出すしかない。その人に話をできる人を捕まえて、声をかけていく、口コミ力が大切だと思います」

山尾さん

「今日の話が実になるといいなと思います。私は縛られるのが嫌で、今はお金をもらって活動をしていないが、地域の扉を開けて、地域を活発にしていきたい。(助成金も)有効に使わるようなお金になるようにしていきたいですね」

布川さん

「私たちは何かをやる人ではなく、つなぐ人、寄り添っていく人。「地域包括ケア」は、国から言われるものではなくて、私たちの声から、力強く、これが、地域包括ケアシステムだ!と言いたい。人・もの・金は走りながら、考えていく。まずはやってみる。これを、みなさんにお願いしたいです」

井上さん

「認知症カフェは何なのだろう、と思う中で、軸は必ず持っていなければならないもの。そこで大切なのは、するされるではなく、平場であること。認知症のことを話そうよ、というのがあり方の一つだと思います。今日も確認されたように、最終的には、(認知症カフェは)いつかは自分のために、将来につながっていく取り組みです。いろんな形があって、ひろがっていくといいと思います。」

吉原

「昨年度ご登壇いただいた矢吹先生のメッセージでは、「誰もが認知症の当事者」と。今回のテーマの、「私の大切な場でなじみの関係を続けよう」、これは、特定の場所だけではなく、自分が選んで住んでいるところ、大切なところで、私も生きていきたいし、私と同じ重さで、みんなもそう思っている。その一緒に暮らしていくところを、互いに助け合う、支え合う、その言葉さえしっくりこないのですが、そういうことを、横繫がりの連なりの豊かさをみなさんと一緒につくっていきたい。」

 


 

最後に…

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フォーラムが開催できたのは、当日のご協力いただいたボランティア13人のみなさんのおかげです。

本当に、ありがとうございました!!

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